派遣会社の基本を学び直しスタッフから信頼を回復し成長した派遣会社

 ある地方の求人媒体を運営する会社が派遣会社を立ち上げました。ある程度の規模まで拡大したのですが、その後、伸び悩んでいるということで、指導を頼まれた時の話しをしたいと思います。

 みなさんも経験があると思いますが、派遣の場合、長期契約といっても必ず終了する時期があります。さらに契約は、すべてが長期というわけではなく、短期契約もあれば、数回の更新で終了してしまうこともあります。

 伸び悩んでいる派遣会社の特徴の1つに、契約が満了したスタッフをあっさりと手放していることがあげられます。「○○さん、長い間お疲れ様でした。機会があったら、お仕事を紹介するので、よかったらまた働いてくださいね。」コーディネーターとしては、精一杯の御礼を言ったつもりなのでしょう。しかし、二度とそのスタッフが戻ってくることはありません。

 皆さんも、そんなスタッフの取りこぼしをしていませんか?

 これでは、優秀な派遣スタッフに逃げられてしまうだけでなく、いいクチコミもおこりません。当然、友達を紹介してくれるスタッフも少ないことでしょう。

 このような派遣会社に限って、オーダーが入ってくるたびに求人媒体を使って募集をかけて登録者を募るのですが、なかなかマッチングできるスタッフにめぐり合えないのです。そんな会社のコーディネーターは、「最近、派遣できる登録者がこない」、「スキルも経験も不足している登録者ばかりだ」、「年齢層の高い人しか登録にこない」と嘆いているのです。

 しかも、ようやく引当できるスタッフにめぐり合っても、他の派遣会社で就業されてしまったりするのです。すると「もう少し待ってくれればいいのに!今の登録者はあてにならない」とスタッフを恨む気持ちが芽生えてしまい、面談にもそんな姿勢が表れてしまうのです。

 こんな悪循環を繰り返していたのが、冒頭の派遣会社なのです。

 まず訪問してしばらく事務所内で様子をうかがいながら問題点を整理していました。今では、プライバシーマークを取得している派遣会社が多く、このような指導がしにくくなっていますが、残念なことです。

 最初に気付いたことが、社内に受注状況や引当状況を確認する仕組みがないことでした。これは、今でも仕組み作りをしていない派遣会社が多いかもしれません。

 IT化が進んだ現在、システムで管理している派遣会社も多いことでしょう。実は、この指導に当たった派遣会社もシステムを導入しており、受注管理はしていたのです。

 そこで、社員の方に聞いてみました。「今、受注は、何件くらいあるの?」、「そのうちAランクは何件?」、「失注した受注は?その原因は?・・・・」いくつか質問してみましたが、「???ちょっとわかりません。」という答えでした。

 この会社だけでなく、今でも、把握できていない派遣会社は多いと思いますが、それでは状況把握ができませんし、失注した情報がわからなくなってしまいます。

 そこで、「壁貼りボード」を作成することにしました。いわゆる「見える化」です。そして翌日から、毎朝このボードの前で会議を始めました。

 次に、気が付いたことが、どうも自分の担当ではないスタッフに関心がないように思われたことです。それは、稼働スタッフからかかってきた一本の電話応対を聞いた時のことです。

 スタッフの名前を聞いても、誰だかわからなかったのです。よって、応対がぎこちなく、スタッフもがっかりした様子でした。そこで、稼働者の名前をフルネームで言えるか聞いてみました。この会社の稼働者は、指導に入った当時100名弱でしたので、当然、営業もコーディネーターも覚えているものと思ったのですが、結果は、そうではありませんでした。

 まだ、いくつかの問題点があるのですが、最悪なことは、スタッフに対する社員の関心度が低いことだったのです。言葉では、「社員の方々もスタッフが大事だ」、「フォローをしっかりしている」と言っていますが、心からそう思っていたかどうかが問われるところです。やはり社員の方々の姿勢をスタッフは見ているものです。表面的なフォローなのか、親身のフォローなのかは、スタッフにはわかってしまうのです。

 そこで、全社員を集めてもらい、派遣会社としての基本的な考え方を解きました。1回の研修ではなく、何回かお伺いし、何度も何度も、繰り返し指導してきました。

 派遣会社のスタッフは、雇用している社員であると同時に、大事な商品であり、お客様なのです。だから、まずスタッフのために働くという意識をもつことを最優先すべきだと話したのです。いくつかの具体例を挙げると次の通りです。

 ・営業がオーダーを取ってくるのもスタッフによりよい仕事を紹介するためであること

 ・スタッフの現状のスキルを正確に把握すること

 ・スキルが不足して派遣就業できるレベルに到達していないスタッフにスキル向上の機会を

  提供すること

 ・できるだけ会社に足を運んでもらい相談にのること

 ・どうしても紹介できる仕事がない時は、素直に謝ること

 ・営業は、親身になってスタッフに紹介できる仕事を探してくること

 ・社員全員がスタッフのフルネームを覚えること

 ・社員全員がスタッフの状況を把握しておくこと

 実際には、まだあるのですが、こんな約束をしたのです。

 途中経過は割愛しますが、結果はどうなったでしょうか?

 100名弱だったスタッフが結果的には、倍増しました。

 さらに、定着率が向上したことと、リピーターが増えたことに加え、友達紹介の件数が激増したのです。しかも、コーディネーターが、登録者に「今すぐ紹介できる仕事がなくてごめんなさい」と伝えたところ、「Kさん(コーディネーター)、私、Kさんから仕事紹介してもらうまで待ってます。だから、営業の方に、がんばって仕事を探してもらってきてください!」といわれたそうなのです。Kさんがうれしそうに後日、私に電話で報告してくれました。

 もちろん、1日、2日で改善できるわけではありません。また、全員が同じレベルで成長するわけでもありません。しかし、1人でも改善したいと思える人が、改善できることを信じて取り組むことで、こんなにも会社全体が変わるのだなと実感した会社でした。

 ポイントは、コーディネート業務では、コーディネーターの仕事への取り組みの見直しと意識改革、面談・評価スキルの向上、スタッフ教育制度の確立です。営業面では、営業社員の意識改革と行動計画に基づく増客システムの確立です。

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